仲間(後編)
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仲間(後編)
「着いたぞ。ここだ」
男についてくるように言われて歩き始め、10分くらいたった頃に僕等はここに着いた。そこは玄関が路地裏に面した、窓の一つもない廃ビルだった。
「ああ、言い忘れてたな。俺の名前は丹波だ。」
丹波さんはがっしりとした長身の男で、腕のブレスレットが栄えるような派手な服装をしている。丹波さんによると派手な格好の方が逆にばれにくいらしい。
中にはいると10人ほどの男女がいた。年齢は皆若く、僕より少し下くらいの子がほとんどだ。
「こいつ等もみんな研修生だ。」
丹波さんがそれぞれの名前を紹介してくれる。名前を呼ばれた人の反応はそれぞれだ。僕に笑いかけてくる華奢な女の子もいれば、まるで疑うように僕のことを睨みつける男の子もいる。
「・・・・まぁ、こんな感じだ。」
丹波さんは一通りの説明を終え、僕の方を見る。思わず僕は目をそらす。基本的に人に見つめられるのは苦手だ。
「俺たちゲイツの仲間にならないか。」
彼は唐突に、真剣な顔で僕に問いかけてくる。その言葉は先ほどから予想していたセリフだがいきなりだったので僕は少しビックリした。
「仲間って、みんなで集まって何をするんですか?試験生を殺して回るってのなら僕はお断りしますけど。」
僕は問いかける。僕はあくまで生活の資金が欲しいだけであって、人殺しがしたいわけではない。
「何もしない。ただ逃げて、隠れて、時がくるまで試験生から身を守る。それだけさ。」
そういって丹波さんは柔らかい笑顔を作る。しかしその顔は憎しみの表情に歪んで、
「俺等のほとんどは、親の事情とかで止むをえず試験を受けている奴だ。中には親が勝手に手続きをして、受験カードだけ持って消えちまった奴までいる。カードは借金を停止することが出来るからな。」
と吐き捨てる。どうやら事情は皆似たようなものらしい。そう思うと彼等に親近感が沸いてくる。
「分かりました。僕も仲間になります。」
そういうと、僕は手を差し出す。この人になら仲良くやっていけそうな気がしたのだ。
「そうか。ありがとな。そういってくれると嬉しいよ。」
そういって僕に応じて丹波さんも手を出し、握手する。
遠くからピアノの音がする。あまり弾いたことがないのか、所々詰まりながらたどたどしく綴られるそのメロディは、弾き手が曲を弾くことを楽しみ、練習すること自体を楽しんでいるような音色だ。
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