憎悪
9月18日
パーティの2時間後。タケオは心の中で笑いながら、しかし表情には決して出さずに久しぶりの大通りを歩いている。
彼はゲイツに入る事になるずっと前、試験開始から自分を偽ってきた。本来の狡猾な自分を内に潜め、内気でおとなしい少年になりきってきた。彼自身、自分は産まれたときからそういう人間だったと思いこむようにしていた。
しかし、それも今日で終わり。彼は久しぶりに本来の自分に戻り、ゲイツの仲間を心の中で罵倒している。
タケオは丹波が嫌いだった。チャラチャラした服装も、顔も、しゃべり方も、すべてにおいて彼を嫌っていた。そしてその丹波が作ったゲイツをも、タケオは嫌悪していた。元々彼は、好きな物など無いのだ。幸せな奴は恨めしく思い、逆に惨めな奴は嘲った。今自分の頭の上を過ぎる雨上がりの雲も、靴を濡らす水たまりも、その水たまりに映る彼自身ですら彼は嫌いだった。
死ね死ね死ね死ね死ねシネシネシネsinesineeeeeeeeeeeeeee・・・・・
多すぎる憎悪の対象のせいで、彼の頭は既にただ恨みの言葉を垂れ流すことしか出来ずにいる。
そうやって背中を丸めて俯いて歩いていると、足下のコンクリートが上品な煉瓦に変わる。タケオは頭を上げ、今まで押し隠していた笑顔を、顔に染み出させる。ニヤリ、と。