第2章 厄災の始まり
とある学校の屋上で話し声が響いている。
特に隠すでもなく堂々と話しているようだ。
それもそのはず、今は人一人も見かけぬ朝の四時。
リラックスした感じで何者かと話しているようだ。
「久しぶりだな。」
「ああ。まあ、そこそこやってるさ。」
「ほ〜、面白そうじゃないか。なあ、HOWKさんよぅ。」
「なに、俺に手伝えと。構わんがいつからだ?」
「今日から監視・・・っておい!いきなりすぎるぞ!!」
「まじかよぉ〜。今日追試だって。」
「抜けろってか。分かったよ。今度レポート手伝えよ。」
「ん。ん。ん。じゃあな。切るぞ。」
・・・・・ピッ、プツ、プープープープー
「うー。ひどく鬱だ。疲れるの〜。たく、人を何だと思ってやがんだ"あいつ"は。」
たっぷりと二日分ぐらいの疲れを感じながら彼、E−03"悪魔"こと斎条夜月は長々とた
め息をついた。
―――四時間と少し後―――
盛大な入学式が行われた。
もちろん、"悪魔"も高2として出席している。
中1の女子は憧れなどのキラキラ光る目で彼を見つめ、高1の女子は我先に手に入れよう
と黒い感情を剥き出しにしている。
"悪魔"はそんな美貌の持ち主だった。身長は170強、華奢に見えなくもない肉好きは無
駄を一切排除した賜物であろう。
彼は今、新入生の中からターゲットを探している。
「(今年もまた、忙しそうだの〜。・・・いかんいかん。見つけにゃ。)」
彼の容姿からは想像もつかないような事を考えつつ人探しに没頭する。
スマイルのおまけ付きでだ。
「(だいたい、顔写真だけで探せっていうのに無理がある。
こんな奴いくらでもいるって。
・・・・・ん?
・・・あ〜〜〜!!めっけたべ〜♪
ほー、こいつがE−15の"EDGE"か。
なかなかモテそうな。写真とは別人だね〜〜。)」
ターゲットのE−15"EDGE"はあまりにも普通だった。むろん、写真では。
しかし、実物の彼はこの世界に浸りきって一種、同族の匂いを発していた。
硝煙と血と死の匂いだ。とてもうまく偽装しているが、凶器、おそらくナイフあたりを呑
んでいる(携帯している)のだろう。
素人には分からないだろうが微妙にポケットが膨らんでいるし、制服をいじった跡から太
ももあたりにも何かを装着しているようだ。
「(しかも、あたりにソナーみたく殺気放ってるしね。)」
なんとなく、彼は殺気を殺しきらず視線という形で"彼"に放ってみた。
"彼"は彼のほうを見て軽く会釈した。
「(俺も"悪魔"って言う名前が通って来たな〜。)」
"彼"の行動を見て彼は思った。
「(後で挨拶にでも行くか。脅かしもも含めてな〜〜!!)」
こんなことを考えつつ退屈な時間をすごしていた。
―――そこから更に二時間後―――
「(EDGEの本名、変わってるね〜。
まあ、俺も人のことは言えませんが、これはね〜。
鳳凰院魁はね〜。こんなの読める奴いるのかよ。
"ほうおういん・かい"なんてさ。)」
とか彼は考えつつ、名簿片手に廊下を徘徊していた。
新入生に肩がぶつかった。背丈は彼と同じぐらい。
ただ、筋量がすごかった。おそらく、アメフトの推薦だろう。
彼は眼を飛ばしながら舌を巻き気味に、
「おい、こらぁ!何処むいとるんじゃ!」
とか叫んだ。謝る義理もないのでそのまま彼は通り過ぎようとすると、
「先輩やからって調子こいとんちゃうぞ!!」
右腕がフック気味に放たれた。これはしゃがんで回避。
その後、捻った体の反動で左のストレート!!
これに合わせて右肘を跳ね上げ軌道をそらす!
がら空きになったアメフトの左半身に潜り込んで体を密着させ、一気に体重移動をした。
一見、何が起こったか分からなかったが次の瞬間にはアメフトは吹っ飛んでいた。
無様に尻餅まで着いた。アメフトの目が驚愕に開かれる。
「なんで、魁と同じ技使えんねん!!」
声が廊下で木霊したかに思えた。チャイムが鳴った・・・・・・