待たぬ月日は立ちやすい
「あぁ、暇だなあ」
いつもの河川敷に少年が寝転がった。
「このままでいいのかねぇ」
と別の少年が肘を太腿に付けて携帯をいじっていた。
もう一人、少年がいるのだが、これは本を読んでいて、微動だにしない。
携帯をいじっている少年は必死に画面とにらめっこして、まるで遊戯をするかのように鈕釦を押している。
残る二人も携帯をもっていたが、一人は芝生の上に、本を読んでいる少年は鞄に入れていた。
三人のそれはほぼ同時刻になり、すぐさま携帯を構えている少年がキーを押し、肩を落とすということを繰り返していた。
「なぁ、轟輔よぉ、何かいい案はないのかよぉ」
と、携帯と格闘していた轟輔と呼ばれた少年に向いたが、
「うーん、ない。」
と、だるそうに生返事をかえすだけだった。
そしてまた、「あぁ、暇だなあ」と言うのだった。
SPASに入ったが良かったがこの方、三人とも、なかなか仕事が回ってこないのであった。
勿論、その意欲は示している…轟輔を見ればわかるが…仕事依頼の情報を表示する携帯はひっきりなしになっているのだが…
すぐに定員となって、締め切られるのである。
「なぁ…何か良い案はないのか、漕治よ。」
ほんの虫は顔を上げることなく、
「本部に行きゃぁ、仕事があるって話だけど?」
と返した。正論だったし、聞いた本人も、それを知っていたが、高度な仕事が多いという噂であるが、仕事があるかもしれない。
「行ってみるか?」
と轟輔に聞くと、またも生返事で、
「任せる。」
と言った。
「行ってみるに越したことはないか。」
と言って、ゆっくりと立ち上がった。
轟輔は携帯を閉じ、漕治は本を閉じた頃、牽斗は簡易人力移動用二輪車、俗称自転車に乗って、二人の準備を待った。
「一応、装備を整えといたほうがいいかな。」
と牽斗が言うと、漕治は、
「装填した弾が錆びそうなんだが?」
と返した。撃つ事が殆ど無いのである。
SPASに付くと、学生証―他の生徒とは違う、青い印の入ったもの―を提示すると、警備員は機械に通し、数秒後に認証が完了した。
大阪にあるSPASの本部―正確には大阪支部なのだが、彼らは便宜上、本部と呼んでいる―は、都心部から少し離れた市街地の地下にある。
その後も数々の認証作業が行われ、彼らはやっとのことで、地下二階に降りることが出来たのだった。
地下二階は案内所の他、多くの普通機械が置いてあった。
SPAS隊員とはいえ、これといって、本部に縁の無い三人衆は、どこに何が配置されているか理解するのに5分以上かかった。