嚢中の錐




牽斗は新聞を読んでいた。見慣れた記事が多かった。-SPASに関する事故などだった。しかし、特に目を引く記事があった。
記事としては大きくなかったが、大きなことだった。
"叢雲社の西村博士のグループが、第二世代元素に安定性のあるものを三種類発見。
 SelgengaradセルゲンガラードMalburniumマルバー二ウムHeglascaへグラスカと命名され、IUPACがそれを承認した。"
との記事であった。どのような性質であるかはこれからの研究次第だ。ともあった。
その日は特に、新潟連続殺人犯が発見されたこと、第二世代元素では安定するものはないと信じられてきたがために、
世間の関心を引かなかったようで小記事であった。
しかし、数年前に出来た会社が三つもの新元素、しかも、素粒子クォーク操作で安定第二世代元素を作るとは思いもよらず、技術力に悪寒を走らせた。
『中山、中山、、、』轟輔らにつられ、電車を降りた。初仕事の駅だった。